どうする?! 秋田県!
都道府県別ランキングで何かと下位に位置する秋田県。人口減少や少子高齢化などは、他県の20年後の姿だとも言われます。そんな秋田県を「課題先進県」と評した本がありました。しかし秋田県はそんなに悪い所でしょうか。
私は全国を旅することで秋田の良さを再認識することが多く、可能性を感じます。良い部分も多いのに、悪い話ばかり聞かされ続けていると本当に悪いような気になります。
この空気のようなものは子供等の心を蝕みます。子供達には希望という熱量を与えなければ人口流出は防ぐことが出来ません。今の秋田県に欠けているものは、挑戦をして未来を拓こうとする気概です。自分たちで立ち上がるしかないのです。これまでの延長線をなぞっていては将来はありません。
秋田県のもっとも重要な課題は、人口減少に伴う社会の維持力・活力の低下ではないでしょうか。よく「人口減少」そのものを問題視する場合がありますが、単に多ければ良いのでしょうか?
人口減少に端を発する多くの課題は先進国に共通のものです。なぜこうなってしまったのか。それは、ひとのことを総量やコストとして捉えるようになったのが遠因ではないかと私は考えています。ひとの存在を暗にお荷物と考えていては増えるはずがありません。
「産めよ殖やせよ」と言われた時代もありましたが、その発想の源もひとを全体として扱うところにあります。また子供を増やすこともお金で考えるようになってしまった。今の人口政策もまた本質的には変わっていないように思います。
一定の人口数によって社会や伝統などが維持され活力を生むことは事実ですが、大号令で解決できる時代ではありません。人口が急に増えることも考えられません。ではどうやって少ない人口で社会を維持するのか。私は一人ひとりの幸せに焦点を当てた発想の転換をし、技術によって不足な部分を補っていく変革を進めるべきだと考えています。
本気で情報化・機械化を進め、ひとを大切にする社会へ
私はDX(デジタル・トランスフォーメーション)とロボットなどの情報化・機械化に注目しています。DXはデジタル技術を活用して、業務やサービスをより良いものに変革していこう、という考え方です。乱暴な例えですが、「機械で出来ることは機械にやらせよう。しかもこれまで無かったような、さらに良い結果を生み出せるように!」といった感じでしょうか。
これまでのように、ただパソコンに情報を入力するようなものではありません。人手が足りない時代だからこそ、機械で出来ることを増やして、人間は人間にしか出来ないことに注力する。そうした大きな社会変革がDXの本質です。
夢のような話に思われるかも知れませんが、これほど急速に多くの人がスマホを持ち歩き、場所・時間・言語などに縛られずに、さまざまなことを行うようになったことを数十年前に想像できたでしょうか。新しい物事は慣れるのが大変ですが、DXでは便利/不便さえも意識させません。
DXで秋田県がその先鞭をつけられれば、「課題解決先進県」となります。さらにそれに関連する企業誘致や起業支援、人材育成まで見通すことが出来れば、全国または世界からここに住み、働きたいという人が増えると思います。
DXは行政の業務だけでなく、農業や多くの事業、サービスで取り組まれ、世の中が大きく変わる礎となるものだと思います。
新技術は利便性を高める反面、人間が持つ能力の低下などの副作用があります。機械に踊らされては本末転倒。すべては一人ひとりの幸福のためである、という基本を押さえる必要があります。そのため人間性と人間力を重視した教育や仕組みを追求していく必要があります。
人々の優しさと新技術に裏打ちされた秋田県を作ることが出来たならば、自然風土が豊かで美味しい食べ物が多い私たちの郷土は、誰もがうらやむ憧れの地となり、次代を担う子供達の誇りとなることでしょう。
(令和5年3月)